NETニュース941 17春闘統一要求書を提出


人事院、内閣人事局に17年春闘統一要求を提出 

 公務労組連絡会は2月15日、2月1日の臨時総会で決定した「2017年春闘統一要求」を人事院と内閣人事局に提出しました。
 統一要求の提出は、公務労組連絡会の川村事務局長と米田・杉本の各事務局次長で行い、人事院は職員福祉局の渥美文子主任職員団体調査官が、内閣人事局は西山賢司参事官補佐が対応しました。
 今後、3月8日の中央行動や各単産をはじめ職場と地域からのたたかいを背景にして、3月下旬に誠意ある回答を引き出すため、交渉を積み上げていきます。

 川村事務局長は、「全国の職場で働く公務労働者の切実な要求は多岐にわたっているが、特に重視する点について述べる」として、賃金改善や退職手当の見直しをはじめとする5点について強調しました。
 人事院と内閣人事局は、それぞれ「本日、要求を受けとったので、しかるべき時期に回答できるよう検討する」と述べました。

(川村事務局長の発言要旨)
◯賃金・昇格等の改善について
 安倍首相は「経済の好循環を継続していくカギは、賃上げだ」と強調しているが、労働者の実質賃金は5年連続マイナスで、消費支出は事実上16か月連続のマイナスとなっており、景気回復のためにも公務労働者も含めたすべての労働者の賃金の引き上げが必要だ。
 毎回強調しているが、公務員賃金は600万人を超える労働者に影響するものであり、地域の活性化にとっても重要だ。月額2万円以上の賃上げの実現とともに、最低賃金レベルに張り付いている高卒初任給は、優秀な人材確保の点からも大問題であり、抜本的な改善を求める。

 退職手当については、民間調査の結果がまとめられ、人事院の見解が3月にも示されると承知している。前回5年前の見直しでは退職手当の大幅な引き下げが行われたが、人事院の「官民均衡の観点から、民間との較差を埋める措置が必要」との見解が根拠にされている。公務員は、定年退職後の再任用制度も不十分で、再就職にも大きな制限があることから、退職後の生活に対する不安は倍増している。また、若年層を含め将来不安から職場での働きがいを失わせている点でも看過できない。

 以上の点から、①退職手当の労働条件性を認め、当該の労働組合との労使協議を十分に行うこと、②公務と民間の違いをふまえ、官民比較を唯一の根拠とした一律の引き下げは行わないことをふまえた対応を行うよう求める。

○非常勤職員の雇用の安定と処遇改善について
 政府は『同一労働同一賃金のガイドライン案』を決定したが、男女の賃金差別は対象とせず、職業経験や能力、業績・成果などについて一定の違いがあれば、差をつけることを容認するなど骨抜きになっている。しかし、一方で非正規労働者・非常勤職員の期待と要求は大きい。国に雇用されている非常勤職員は7万人を超えており、行政や公共サービスはその人たちを抜きには成り立たない。国民のための公務・公共サービスを担って奮闘している非常勤職員の雇用の安定化と賃金や労働条件の改善を求める。

 非常勤職員の雇用について、会計制度や平等取扱の原則、任免の根本基準(成績主義の原則)を口実に公募要件に固執しているが、公務の実情に合わない。能力と経験を生かし、公務の安定性を確保するためにも雇用の無期化を求める。あわせて、最低時給1000円を下回っている非常勤職員は直ちになくすよう求める。

○高齢期雇用と定年延長について
 政府による現行の再任用制度では、雇用と年金の確実な接続は確保できず、人事院が指摘する再任用職員の能力と経験の活用ができないばかりか、民間企業でのフルタイム勤務や処遇からも乖離しており、民間との均衡や法の下の平等にも反する。2年後には63歳支給となり、5年後には65歳となるものであり、現状を放置することは許されない。再任用職員の生活が保障できる賃金水準を確保するよう求める。あわせて、今年の定年退職者の再任用実態を早急に把握し、公務労組連絡会とも情報を共有して、定年延長実現に努力することを求める。

 また、人事院は昨年の人事管理に関する報告で、フルタイム再任用の実現にむけて「定員の調整を行うための経過的な取り扱い」を関係機関に働きかけるとしており、この実現を求める。

○労働時間短縮、休暇制度など働くルールの確立について
 来年度の国家公務員の定員査定では、650人の純減となった。治安や外交、関税などは増員されており、国民の暮らしや権利に関わる行政部門の定員が大幅に削減されている。業務量は減るどころか増える一方のもとで、人員を減らせば長時間残業につながることは明白だ。これでは、いくらメンタルヘルス対策を叫んでも改善できるものではない。長時間残業を抜本的に解決すること、そのためにも定員増が必要である。公務員の命と健康に責任を負っている人事院・内閣人事局として、行政機関の実態調査も行って、残業規制とそのための対策に本腰を入れるようあらためて求める。

 「公的サービスの産業化」のもと、行政業務の民間委託の拡大が行われ、地方交付税の算定には「トップランナー方式」が押しつけられている。また、財界の要望にもとづいて、さらなる規制緩和も狙われているが、民間委託先での労働者の低賃金や劣悪な労働条件、そのもとでの行政サービスの劣化など、国民の基本的人権保障、安心・安全が確保できない事態が発生している。その点からも、内閣人事局に対しては、民間委託や派遣労働の導入ではなく、正規の公務員の増員によって公務・公共サービスを拡充するよう求める。

○労働基本権にかかわって
 昨年の扶養手当の見直しにかかわって、公務労組連絡会との誠実な協議・交渉も行わず、人事院は労働基本権の代償機関としての使命を投げ捨てる対応を行った。また、政府・内閣人事局も使用者として労働条件の不利益変更についての誠実な協議・交渉を行うことなく勧告をタテにして強行した。公務員労働者の権利を侵害するこうした乱暴な労働条件の不利益変更は断じて認められない。労働基本権を回復するよう改めて強く求める。

 杉本事務局次長は、地方自治体では定員削減が限界にきて、千葉県や滋賀県は増員していることを紹介し、国としての定員増を求めました。また、厚労省の「労働時間の適正把握に関するガイドライン」にもとづいて総務省通知が2月8日に出されたと述べ、国としても勤務時間の把握を強めるよう求めました。
 米田事務局次長は、「同一労働同一賃金」にかかわって、再任用者が同じ仕事をしていることを指摘して賃金・処遇の改善とともに、非常勤職員の処遇改善を求めました。

 最後に、川村事務局長が以下のように述べて提出交渉を終わりました。
(人事院)労働基本権制約のもとでの「代償措置」である勧告制度がないがしろにされてはならない。人事院として、あらためて公務労働者の生活と労働条件の改善にむけてその役割を果たすよう求める。提出した要求はどれも切実なものであることをしっかりと受けとめ、その実現と改善にむけて誠意をもって対応するよう求める。

(内閣人事局)安倍首相が、賃金の引き上げや非正規労働者の処遇改善を公言しているもとで、使用者として公務員労働者や非常勤職員の生活と労働条件の改善に努力することは当然のことだ。提出した要求を誠実に検討し、労使での率直な話し合いを行うよう求める。 

以 上

【人事院へ提出した要求書】

2017年2月15日

人事院総裁  一宮 なほみ 殿

公 務 労 組 連 絡 会
 議長  猿橋 均

公務労組連絡会2017年春闘統一要求

 職場では、連年にわたって定員削減がつづくきびしい環境のもとでも、憲法第15条にさだめている全体の奉仕者として国民の基本的人権を保障するために日夜奮闘しています。しかし、職員個々の奮闘は限界にきており、健康を害する職員も増加しています。
 職員が健康で安心して働ける職場を構築するとともに、国民のくらしや権利、安全・安心を守るためにも、増員をはじめとする公務・公共サービスの拡充は不可欠です。職場の奮闘に応えるためにも、人事院は、公務員の労働基本権制約の「代償機関」としての責務をふまえ、賃金・労働条件の改善にむけて積極的な役割を果たすべきです。
 私たちは、公務・民間、正規・非正規を問わず、すべての労働者の賃金・労働条件を求めます。春闘期の統一要求について、貴職が十分な検討を行い、誠意をもって回答するよう求めます。


1、賃金・昇格等の改善について
(1)公務労働者の賃金を、月額20,000円以上(国公比較賃金ベースで4.9%)引き上げること。
(2)民間初任給との格差を是正するため、行政職(一)一般職高卒初任給(1級5号俸)を170,000円、一般職大卒初任給(1級25号俸)を202,100円に引き上げること。
(3)非常勤職員の時給を150円以上引き上げること。
(4)非常勤職員をはじめ、公務職場で働く労働者の最低賃金を「時給1,000円」「日額8,000円」「月額170,000円」以上に引き上げること。
(5)非常勤職員の賃金は行政職(一)1級5号俸を基礎として、学歴、経験年数及び職務内容等の要素をふまえて決定すること。また、期末手当及び通勤手当の支給額を改善するなど諸手当を充実すること。
(6)55歳を超える職員の給与減額措置の即時廃止をはじめ、高齢層の給与抑制措置を取りやめること。
(7)「給与構造改革・給与制度の総合的見直し」による地域間格差と世代間格差を解消すること。当面、「給与制度の総合的見直し」によって賃下げとなる職員を生じないよう経過措置を恒久化すること。
(8)官民給与の比較は、比較企業規模を1,000人以上に引き上げるなど、同種・同等比較を徹底した官民賃金比較方法に改善すること。
(9)俸給水準は、生計費や公務員としての専門性の高まりを反映した水準とすること。
(10)一時金の支給月数を引き上げ、改善部分をすべて期末手当にあてること。また、役職傾斜支給、管理職加算は廃止し、全職員の一時金改善にあてること。
(11)退職手当は、公務の特殊性に見合った制度・水準に改善すること。見直し検討にあたり、労働条件性を明確にして労働組合との協議をつくすとともに、当面、「調整額」は廃止し、退職時の俸給と勤続年数を基礎とする算定方式にあらためること。また、官民比較にあたっては、ラスパイレス比較をやめ、役職段階・勤続年数ごとのモデルで比較とすること。
(12)諸手当については、以下の要求を実現すること。
 ① 地域間格差の縮小、支給地域の拡大など地域手当を改善すること。
 ② 扶養手当の支給範囲及び支給額を改善すること。
 ③ 住居手当の全額支給限度額・最高支給限度額を引き上げること。
 ④ 職員に自己負担を生じさせないよう通勤手当の支給要件・支給額を改善すること。
 ⑤ 単身赴任手当の支給要件・支給額を改善すること。
 ⑥ 超過勤務手当の支給割合を150%に、深夜勤務及び休日給の支給割合を200%に引き上げること。また、正規の勤務時間を超えて移動に要した出張中の時間に対しても支給すること。
 ⑦ 寒冷地手当の級地区分や指定基準を改め、支給額等を改善すること。
 ⑧ 特殊勤務手当の支給範囲や対象職員の拡大をはかるとともに、支給額を改善すること。
 ⑨ 特地勤務手当の支給対象の拡大をはかるとともに支給率等を改善すること。
(13)昇格改善について、以下の要求を実現すること。
 ① 級別標準職務表を抜本的に改正し、各職務の評価を引き上げること。
 ② 行(二)職員の部下数制限を撤廃し、職務の特性にふさわしい昇格基準を確立すること。
 ③ 本省・地方の機関間格差や府省別、組織別、世代間、男女間の昇格格差を是正すること。

2、非常勤職員の雇用の安定・処遇改善について
(1)非常勤制度について、以下のとおり抜本的に見直すこと。
 ① 非常勤職員制度を抜本的に見直し、雇用の安定、均等待遇などをはかる法制度を整備すること。また、そのために必要な予算措置を行うこと。
 ② 非常勤職員の労働条件の決定にあたっては、公正・中立な第三者機関が、勧告権の行使等、労働基本権制約の「代償機能」を十全に果たすこと。
 ③ 恒常的・専門的・継続的業務に従事する非常勤職員は、常勤化・定員化すること。そのため、総定員法の廃止や定員合理化計画の中止・撤回、行政体制の整備・拡充をはかること。
(2)非常勤職員の雇用の安定と身分保障の確立にむけ、以下のとおり措置すること。
 ① 非常勤職員の任用について、公正な人事管理を行うための法整備を行うこと。また、労働契約法の解雇権濫用法理や無期転換制度と同様の制度を整備すること。
 ② 任命権者に原則任用更新の義務を課すこと。また、一律的・一方的な「雇い止め」は禁止すること。
 ③ 非常勤職員の身分保障を常勤職員と同様に実効あるものとするための法整備を行うこと。
 ④ 期間業務職員の更新に係る公募要件は、専門性維持を困難にし、深刻な精神的負担をもたらすことから撤廃すること。
(3)均等待遇の実現にむけ、以下の措置を講じること。
 ① 職務給の原則、同一価値労働同一賃金を基本とする均等待遇を確立すること。
 ② 非常勤職員の処遇は各府省任せにせず、公正な職務評価による待遇改善を行うよう法制度を整備するとともに、労働契約法の不合理な労働条件相違の禁止を適用すること。
 ③ 職務内容、職務経験等に応じた賃金の引き上げを行うとともに、昇給制度を設けること。
 ④ 休暇制度について、不合理な相違を解消して、常勤職員と同等の制度とすること。そのためにも以下を早急に実現すること。
  ア 無給とされている休暇を有給とすること。
  イ 非常勤職員の忌引休暇、病気休暇、子の看護休暇について、6か月以上任用の制限を撤廃すること。また、年次有給休暇を採用時に付与するようにすること。
  ウ 非常勤職員に対しても、結婚休暇、夏季休暇を制度化すること。

3、高齢期雇用・定年延長について
(1)雇用と年金の確実な接続をはかるため、定年年齢を段階的に65歳に引き上げること。再任用は暫定措置と位置づけるとともに、定員・定数の確保をはじめ希望者全員のフルタイム任用を保障すること。
(2)再任用職員の賃金水準を大幅に引き上げるとともに、生活関連手当を支給すること。少なくとも、人事院の「意見の申出」と同等の賃金水準や処遇を確保すること。
(3)再任用後のポストや処遇に著しい格差を生じさせないようにすること。また、ポストや処遇の設定などについて、任命権者による恣意的な運用が行われないようガイドラインを示すなど責任ある対応をとること。
(4)早期退職募集制度は、恣意的な運用を行わないこと。
(5)60歳を超える職員の賃金について、年齢等による差別は行わず、職務・職責に応じた水準とし、少なくとも、年金の満額支給までの生活を保障するに足る水準とすること。
(6)長時間過密労働の解消、所定勤務時間の短縮、各種休暇制度の充実と運用改善など、職員が健康で意欲をもって働き続けられる職場環境整備に努めること。
(7)加齢により就労が困難な職種については、65歳まで働き続けることができる職域を設けること。
(8)夜勤・交替制勤務者については、高齢期において夜勤・変則勤務を免除する制度を設けること。
 65歳までの定年延長が完成するまでの間は再任用制度を併置することとし、以下の要求を実現すること。
 ① 再任用職員の定数は別枠とするなど、政府の責任で必要な定数を確保させ、希望者全員のフルタイムでの再任用を保障すること。
 ② 給与水準は退職前の給与水準を基本とし、少なくとも定年退職時給与の7割の水準を確保するとともに、生活関連手当を支給すること。

4、労働時間短縮、休暇制度など働くルールの確立について
(1)労働時間の短縮にむけ以下のとおり改善すること。
 ① 所定勤務時間を「1日7時間、週35時間」に短縮すること。
 ② 勤務時間管理を徹底し、超過勤務の大幅な縮減と不払い残業を根絶すること。
 ③ 超過勤務時間の上限規制を行うこと。また、全府省共通の窓口時間の設定を行うこと。
 ④ 交替制勤務者をはじめとするすべての職員について、連続勤務時間を短縮し、勤務間隔を11時間以上確保すること。
(2)休暇制度を以下のとおり改善すること。
 ① 年次有給休暇、夏季休暇、結婚休暇を拡充すること。
 ② 経済的措置を含めて長期勤続休暇(リフレッシュ休暇)を早期に制度化すること。
 ③ 不妊治療のための通院休暇を制度化すること。また、不妊治療費の助成を行うこと。
(3)休暇・休業制度が取得しやすい環境を整備するよう各府省を指導すること。
(4)「フレックスタイム制」や早出勤務の実施等、勤務時間の変更は労働組合との協議に基づくこと。また、勤務時間の割り振りは、職場や職員の生活の実態をふまえ、適正に行うこと。
(5)国家公務員宿舎の廃止計画、宿舎使用料の値上げを中止・撤回するとともに、必要な公務員宿舎を確保するよう措置すること。
(6)労働時間短縮をはじめとした労働条件を確保するため、必要な要員を確保するよう、政府へ強力に働きかけること。

5、民主的公務員制度と労働基本権の確立について
(1)憲法28条の原則に立った基本的人権として、ILO勧告など国際基準にそった労働基本権の全面的な回復を実現すること。
(2)公務における団結権の保護及び雇用条件決定手続に関するILO第151号条約を批准すること。
(3)公正・中立・民主的な公務員制度を確立すること。当面、国民的な議論を保障し、自律的労使関係制度の早期確立にむけ検討を行うこと。
(4)職員団体のための職員の行為の制限(国公法第108条の6)を廃止すること。
(5)「特定秘密保護法」や「マイナンバー制度」による公務労働者の基本的人権侵害を防止すること。
(6)公務員の政治的行為の制限を撤廃し、市民的権利を十全に保障すること。
(7)労働組合の団結と自治を破壊する組織介入、不当労働行為は一切行わないこと。
(8)中立・公正な行政を確立するために、公務員の身分保障を形骸化させないこと。
(9)評価制度について、導入の目的に照らして問題点を検証するとともに、以下のとおり改善すること。
 ① 評価結果は全面開示とすること。
 ② 短期の評価結果を給与等の決定に直接反映しないこと。
 ③ 苦情処理システムに労働組合の関与を保障すること。
(10)採用試験区分にもとづく人事運用での差別を撤廃すること。

6、両立支援制度の拡充、男女平等・共同参画の推進について
(1)両立支援制度について、以下のとおり拡充すること。
 ① 子の看護休暇を子ども一人につき5日以上とし、対象年齢は、当面、中学校入学前の子まで引き上げること。
 ② 育児時間・育児短時間勤務の適用対象年齢を、中学校入学前の子まで引き上げること。
 ③ 男性も育児参加しやすいよう職場環境を整備すること。
 ④ 介護休暇の取得期間を延長し、取得方法、要介護期間の制限撤廃などの改善をはかること。
 ⑤ 短期介護休暇における要介護家族の定義及び範囲を見直し、拡充すること。
 ⑥ 育児や介護による休業中の所得保障を充実すること。
(2)男女平等・共同参画の推進にむけ、以下の措置を講じること。
 ① 雇用の全ステージにおける男女差別を禁止すること。
 ② 女性の採用を拡大するとともに、数値目標を設定して大幅な登用をはかること。
 ③ 役職段階別に占める女性の割合を男女の職員構成比に応じたものとすること。

7、健康・安全確保、母性保護等について
(1)職員の健康・安全を確保するため、以下の対策を講じること。
 ① 労使協議で超勤規制、夜勤制限、勤務時間帯等の実効ある基準を策定すること。
 ② 心の健康づくり対策を強化すること。
 ③ パワーハラスメントに対する指針を策定し、具体的な対策を講じること。
 ④ 看護師の夜勤は、3人以上・月6日以内に制限すること。
 ⑤ 一般健康診断・特別健康診断を充実させること。
 ⑥ 更年期障害に関わる措置等を制度化すること。
 ⑦ ストレスチェック制度は、職員の自主性の確保、プライバシーの保護、及び不利益防止の措置を徹底するとともに、実施体制等を含め、労働組合との協議に基づき実施すること。また、実施にかかる十分な予算を確保すること。
 ⑧ 行政対象暴力に対する安全対策を確保すること。
(2)母性保護のため、以下の措置を講じること。
 ① 産前休暇を8週間、産後休暇を10週間とし、産前6週間の就業禁止期間を設けるとともに、代替要員を確保すること。
 ② 妊産婦の負担を軽減するため、軽易な業務への転換、勤務時間短縮などを行うこと。また、妊娠障害における休暇を制度化すること。
 ③ 生理休暇を特別休暇に戻すこと。
(3)国家公務員災害補償の認定を速やかに行うこと。
(4)公務・通勤災害の各種給付水準を引き上げること。

8、東日本大震災、東京電力福島第一原発事故に伴う労働条件改善について
(1)被災地に勤務するため遠距離通勤を強いられている職員に対し、通勤緩和措置を講ずること。
(2)福島県の各官署に勤務する職員の放射線量管理を徹底させるとともに、定期的に特別健康診断を行うこと。また、被災後、福島県の官署に勤務した職員についても、同様に対応すること。
(3)自主避難等している職員に対しては、自己都合とせず通勤手当を満額支給するなど特例措置を講ずること。また、家族のみが自主避難している場合は、単身赴任手当を支給すること。

以 上

【内閣人事局へ提出した要求書】

2017年2月15日

内閣総理大臣 安倍 普三 殿
内閣官房長官 菅  義偉 殿

公 務 労 組 連 絡 会
 議長  猿橋 均

公務労組連絡会2017年春闘統一要求


(前文省略)

1、賃金・昇格等の改善について
(1)公務労働者の賃金を、月額20,000円以上(国公比較賃金ベースで4.9%)引き上げること。
(2)民間初任給との格差を是正するため、行政職(一)一般職高卒初任給(1級5号俸)を170,000円、一般職大卒初任給(1級25号俸)を202,100円に引き上げること。
(3)55歳を超える職員の給与減額措置の即時廃止をはじめ、高齢層の給与抑制措置を取りやめること。
(4)「給与制度の総合的見直し」によって賃下げとなる職員を生まないよう経過措置を延長するなど、新たな対策を講ずること。
(5)官民給与の比較は、比較企業規模を1,000人以上に引き上げるなど、同種・同等比較を徹底した官民賃金比較方法に改善すること。
(6)俸給水準は、生計費や公務員としての専門性の高まりを反映した水準とすること。
(7)一時金の支給月数を引き上げ、改善部分をすべて期末手当にあてること。また、役職傾斜支給、管理職加算は廃止し、全職員の一時金改善にあてること。
(8)退職手当は、公務の特殊性に見合った制度・水準に改善すること。見直し検討にあたり、労働条件性を明確にして労働組合との協議をつくすとともに、当面、「調整額」は廃止し、退職時の俸給と勤続年数を基礎とする算定方式にあらためること。
(9)諸手当については、以下の要求を実現すること。
 ① 地域間格差の縮小、支給地域の拡大など地域手当を改善すること。
 ② 扶養手当の支給範囲及び支給額を改善すること。
 ③ 住居手当の全額支給限度額・最高支給限度額を引き上げること。
 ④ 職員に自己負担を生じさせないよう通勤手当の支給要件・支給額を改善すること。
 ⑤ 単身赴任手当の支給要件・支給額を改善すること。
 ⑥ 超過勤務手当の支給割合を150%に、深夜勤務及び休日給の支給割合を200%に引き上げること。また、正規の勤務時間を超えて移動に要した出張中の時間に対しても支給すること。
 ⑦ 寒冷地手当の級地区分や指定基準を改め、支給額等を改善すること。
 ⑧ 特殊勤務手当の支給範囲や対象職員の拡大をはかるとともに、支給額を改善すること。
 ⑨ 特地勤務手当の支給対象の拡大をはかるとともに、支給率等を改善すること。
(10)昇格改善について、以下の要求を実現すること。
 ① 級別標準職務表を抜本的に改正し、各職務の評価を引き上げること。
 ② 行(二)職員の部下数制限を撤廃し、職務の特性にふさわしい昇格基準を確立すること。
 ③ 本省・地方の機関間格差や府省別、組織別、世代間、男女間の昇格格差を是正すること。

2、非常勤職員の雇用の安定・処遇改善について
(1)非常勤制度について、以下のとおり抜本的に見直すこと。
 ① 非常勤職員制度を抜本的に見直し、雇用の安定、均等待遇などをはかる法制度を整備すること。また、そのために必要な予算措置を行うこと。
 ② 恒常的・専門的・継続的業務に従事する非常勤職員は、常勤化・定員化すること。そのため、総定員法の廃止や定員合理化計画の中止・撤回、行政体制の整備・拡充をはかること。
(2)非常勤職員の雇用の安定と身分保障の確立にむけ、以下のとおり措置すること。
 ① 非常勤職員の任用について、公正な人事管理を行うための法整備を行うこと。また、労働契約法の解雇権濫用法理や無期転換制度と同様の制度を整備すること。
 ② 任命権者に原則任用更新の義務を課すこと。また、一律的・一方的な「雇い止め」は禁止すること。
 ③ 非常勤職員の身分保障を常勤職員と同様に実効あるものとするための法整備を行うこと。
 ④ 期間業務職員の更新に係る公募要件は、専門性維持を困難にし、深刻な精神的負担をもたらすことから撤廃すること。
(3)均等待遇の実現にむけ、以下の措置を講じること。
 ① 職務給の原則、同一価値労働同一賃金を基本とする均等待遇を確立すること。
 ② 非常勤職員の処遇は各府省任せにせず、公正な職務評価による待遇改善を行うよう法制度を整備するとともに、労働契約法の不合理な労働条件相違の禁止を適用すること。
 ③ 職務内容、職務経験等に応じた賃金の引き上げを行うとともに、昇給制度を設けること。
 ④ 休暇制度について、不合理な相違を解消して、常勤職員と同等の制度とすること。そのためにも以下を早急に実現すること。
  ア 無給とされている休暇を有給とすること。
  イ 非常勤職員の忌引休暇、病気休暇、子の看護休暇について、6か月以上任用の制限を撤廃すること。また、年次有給休暇を採用時に付与すること。
  ウ 非常勤職員に対しても、結婚休暇、夏季休暇を制度化すること。

3、国民本位の行財政・司法の確立と要員確保等について
(1)国民の安全・安心の確保に資する国民本位の行財政・司法を確立すること。
(2)地方交付税の「行革努力の反映」や「トップランナー方式」をあらため、住民本位の自治体運営に必要な地方交付税を確保・配分すること。
(3)公共サービスの劣化につながる「市場化テスト法」を廃止すること。
(4)公務員の総人件費削減を中止すること。また、業務の民間委託や派遣労働を導入・拡大せず、行政需要に見合う大幅な増員を行うこと。
(5)総定員法を廃止するとともに、「定員合理化計画」を撤回し、必要な要員を確保すること。当面、定員管理の柔軟な運用により、職場実態に見合った要員等を確保すること。
(6)行(二)職の不補充政策を撤廃すること。
(7)旧社会保険庁職員の分限免職を撤回し、安定した年金業務実施体制を確保すること。
(8)「道州制」「地方分権改革」による事務・権限の移譲や国の地方出先機関の廃止は行わないこと。
(9)職員の雇用・労働条件を無視した国の機関や独立行政法人等の地方移転は行わないこと。
(10)公共サービス基本法に基づき、国が委託する事業で働く労働者の適正な労働条件を確保するため「公契約法」を制定すること。

4、高齢期雇用・定年延長について
(1)雇用と年金の確実な接続をはかるため、定年年齢を段階的に65歳に引き上げること。再任用は暫定措置と位置づけるとともに、定員・定数の確保をはじめ希望者全員のフルタイム任用を保障すること。
(2)再任用職員の賃金水準を大幅に引き上げるとともに、生活関連手当を支給すること。少なくとも、人事院の「意見の申出」と同等の賃金水準や処遇を確保すること。
(3)再任用後のポストや処遇に著しい格差を生じさせないようにすること。また、ポストや処遇の設定などについて、任命権者による恣意的な運用が行われないようガイドラインを示すなど政府として責任ある対応をとること。
(4)早期退職者募集制度は、恣意的な運用を行わないこと。
(5)60歳を超える職員の賃金について、年齢等による差別は行わず、職務・職責に応じた水準とし、少なくとも、年金の満額支給までの生活を保障するに足る水準とすること。
(6)長時間過密労働の解消、所定勤務時間の短縮、各種休暇制度の充実と運用改善など、職員が健康で意欲をもって働き続けられる職場環境整備に努めること。
(7)加齢により就労が困難な職種については、65歳まで働き続けることができる職域を設けること。
(8)夜勤・交替制勤務者については、高齢期において夜勤・変則勤務を免除する制度を設けること。

5、民主的公務員制度と労働基本権の確立について
(1)憲法28条の原則に立った基本的人権として、ILO勧告など国際基準にそった労働基本権の全面的な回復を実現すること。
(2)公正・中立・民主的な公務員制度を確立すること。当面、国民的な議論を保障し、自律的労使関係制度の早期確立にむけ検討を行うこと。
(3)公務における団結権の保護及び雇用条件決定手続に関するILO第151号条約を批准すること。
(4)職員団体のための職員の行為の制限(国公法第108条の6)を廃止すること。
(5)公務員の政治的行為の制限を撤廃し、市民的権利を十全に保障すること。
(6)労働組合の団結と自治を破壊する組織介入、不当労働行為は一切行わないこと。
(7)中立・公正な行政を確立するために、公務員の身分保障を形骸化させないこと。
(9)採用試験区分にもとづく人事運用での差別を撤廃すること。
(8)評価制度について、次の改善をはかること。
 ① 評価結果は全面開示とすること。
 ② 短期の評価結果を給与等の決定に直接反映しないこと。
 ③ 苦情処理システムに労働組合の関与を保障すること。また、利用しやすい環境を整備すること。
(9)採用試験区分にもとづく人事運用での差別を撤廃すること。
(10)公務労働者の基本的人権を侵害する特定秘密保護法は廃止すること。当面、「適正評価」による、プライバシーの侵害や差別を行わないこと。

6、労働時間短縮、休暇制度など働くルールの確立について
(1)労働時間の短縮にむけ以下のとおり改善すること。
 ① 所定勤務時間を「1日7時間、週35時間」に短縮すること。
 ② 勤務時間管理を徹底し、超過勤務の大幅な縮減と不払い残業を根絶すること。
 ③ 超過勤務時間の上限規制を行うこと。また、全府省共通の窓口時間の設定を行うこと。
 ④ 交替制勤務者をはじめとするすべての職員について、連続勤務時間を短縮し、勤務間隔を11時間以上確保すること。
(2)休暇制度を以下のとおり改善すること。
 ① 年次有給休暇、夏季休暇、結婚休暇を拡充すること。
 ② 経済的措置を含めて長期勤続休暇(リフレッシュ休暇)を早期に制度化すること。
 ③ 不妊治療のための通院休暇を制度化すること。また不妊治療費の助成を行うこと。
(3)休暇・休業制度が取得しやすい環境を整備するよう各府省を指導すること。
(4)「フレックスタイム制」や早出勤務の実施等、勤務時間の変更は労働組合との協議にもとづくこと。また、勤務時間の割り振りは、職場や職員の生活の実態をふまえ、適正に行うこと。
(5)マイナンバー制度は直ちに廃止すること。また、個人番号カードのICカード身分証との一体化は中止すること。

7、両立支援制度の拡充、男女平等・共同参画の推進について
(1)両立支援制度について、以下のとおり拡充すること。
 ① 子の看護休暇を子ども一人につき5日以上とし、対象年齢は、当面、中学校入学前の子まで引き上げること。
 ② 育児時間・育児短時間勤務の適用対象年齢を、中学校入学前の子まで引き上げること。
 ③ 男性も育児参加しやすいよう職場環境を整備すること。
 ④ 介護休暇の取得期間を延長し、取得方法、要介護期間の制限撤廃などの改善をはかること。
 ⑤ 短期介護休暇における要介護家族の定義及び範囲を見直し、拡充すること。
 ⑥ 育児や介護による休業中の所得保障を充実すること。
(2)男女平等・共同参画の推進にむけ、以下の措置を講じること。
 ① 雇用の全ステージにおける男女差別を禁止すること。
 ② 女性の採用を拡大するとともに、大幅な登用をはかること。
 ③ 役職段階別に占める女性の割合を男女の職員構成比に応じたものとすること。雇用の全ステージにおける男女差別を禁止すること。

8、健康・安全確保、母性保護等について
(1)職員の健康・安全を確保するため、以下の対策を講じること。
 ① 労使協議で超勤規制、夜勤制限、勤務時間帯等の実効ある基準を策定すること。
 ② 心の健康づくり対策を充実・強化すること。
 ③ パワーハラスメントに対する指針を策定し、具体的な対策を講じること。
 ④ 看護師の夜勤は、3人以上・月6日以内に制限すること。
 ⑤ 一般健康診断・特別健康診断を充実させること。
 ⑥ 更年期障害に関わる措置等を制度化すること。
 ⑦ ストレスチェック制度は、職員の自主性の確保、プライバシーの保護、及び不利益防止の措置を徹底するとともに、実施体制等を含め、労働組合との協議に基づき実施すること。また、実施にかかる十分な予算を確保すること。
 ⑧ 行政対象暴力に対する安全対策を確保すること。
(2)母性保護のため、以下の措置を講じること。
 ① 産前休暇を8週間、産後休暇を10週間とし、産前6週間の就業禁止期間を設けるとともに、代替要員を確保すること。
 ② 妊産婦の負担を軽減するため、軽易な業務への転換、勤務時間短縮などを行うこと。
 ③ 生理休暇を特別休暇に戻すこと。
(3)国家公務員災害補償の認定を速やかに行うこと。
(4)公務・通勤災害の各種給付水準を引き上げること。

9 労働条件・業務関連予算等と共済制度について
(1)超過勤務手当、職員厚生費をはじめ処遇改善に必要な予算措置を講じること。
(2)旅費・赴任旅費・船員食卓料・庁費など業務関連予算を拡充すること。
(3)国家公務員宿舎の廃止計画、宿舎使用料の値上げを中止・撤回すること。また、宿舎に入居することが認められる職員の類型を廃止し、必要な公務員宿舎を確保するとともに、改善のための関連予算を大幅に増額すること。
(4)支給開始年齢の60歳への引き下げ、マクロ経済スライドの廃止など、年金制度を抜本的に改善すること。当面、厚生年金への一元化にともなう給付の引き下げや掛金の引き上げなどの不利益を是正すること。
(5)長期給付制度について、以下の要求を実現すること。
 ア 保険料負担割合を掛金(労働者分)3、負担金(使用者分)7とすること。
 イ 退職等年金給付にかかる保険料は全額使用者負担とするとともに、支給額・支給期間を改善すること。また、旧職域部分の経過支給を継続するとともに、支給額の引き上げと支給対象の拡大をはかること。
 ウ 交替制勤務や海上勤務など肉体的・精神的な困難性を有する職種については、繰り上げ支給を可能とすること。
 エ 標準報酬月額の算定基礎から通勤手当・住居手当等の実費弁償的手当を除外すること。
(6)短期給付制度について、以下の改善を行うこと。
 ア 本人及び家族の負担を2割に戻すこと。
 イ 特定検診・後期高齢者支援金等を抜本的に見直すこと。
 ウ 各種附加給付の上限及び最低保障額を引き上げること。
 エ 一部負担金払戻金、家族療養費等の附加給付の最低基準額を引き下げること。
(7)国家公務員共済組合連合会の運営審議会に国公労連をはじめとするすべての労働組合代表を参加させるなど、連合会及び単位共済組合の運営の民主化をはかること。

10、独立行政法人の制度等について
(1)独立行政法人制度について、以下の要求を実現すること。
 ① 自主性・自律性が発揮できる独立行政法人制度の運用を保障すること。
 ② 中期目標・計画等の策定権限を独立行政法人に付与し、各独立行政法人が策定する際に、労働組合との協議を行うなど、職員の意見を反映させる仕組みとすること。
(2)事業の安定性と継続性を保障する財政的措置を講じること。
(3)必要な人員確保を保障し、総人件費抑制は行わないこと。
(4)廃止等を前提とした、組織、事務・事業の一方的な見直しは行わないこと。組織等の見直しや労働条件は労使自治のもとで決定するとともに、職員の雇用は国が責任を持つこと。
(5)労使自治による賃金・労働条件決定を保障し、政府は直接・間接的に不当な介入を行わないこと。

以 上 

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