私たちの声明・談話

公 務 労 組 連 絡 会

2014年人事院勧告にあたって(声明)



2014年8月7日
公務労組連絡会幹事会

1、 人事院は本日、国家公務員一般職の賃金等について、「1,090円、0.27%」の官民較差にもとづく月例給改定、一時金の0.15月引き上げ、非常勤職 員の休暇制度改善などを内容とした勧告・報告をおこなった。一方、俸給水準の引き下げ、地域手当の見直し、50歳代後半職員の賃下げなどを内容とする「給 与制度の総合的見直し」も勧告した。
 7年ぶりのベア勧告は、賃金改善を求めるねばり強いたたかいの反映であるが、2年間の賃下げ、消費税増税、物価上昇で悪化する公務労働者の生活改善にはほど遠く、きわめて不満な勧告である。
 安倍政権がアベノミクスと称する経済対策を推進するなか、一部大企業で6年ぶりのベアも見られたが、中小企業には賃上げはおよばず、実質賃金も低下しつ づけている。大企業が儲けても結局は労働者の賃金には行き着かず、アベノミクスの破綻は、わずかな官民較差にとどまった本年勧告からも明らかである。

2、「地域の公務員給与が高いのではないか」(13年人事院報告)との考えにもとづく「給与制度の総合的見直し」は、民間賃金の低い12県を基準にした 2%の賃金水準引き下げ、地域手当の18%から20%への格差拡大、ベテラン職員の最大4%の賃下げなど、05年の「給与構造改革」以来の給与制度改悪と なった。
 職場に新たな差別と分断を持ち込み、地方切り捨てで地域経済を冷え込ませ、若年層にまで将来不安をひろげる「給与制度の総合的見直し」は、断じて認められない。
 何よりも重大なことは、今回の「見直し」が、安倍内閣が昨年11月に閣議決定し、人事院に検討を要請した「給与体系の抜本改革」に忠実に応えたことであ る。労働基本権を踏みにじった憲法違反の「給与臨時特例法(賃下げ法)」に代わって、人事院勧告制度を使って新たな賃下げをねらった点にこそ、今年の勧告 の根本的な問題点がある。政府方針に全面的に迎合・荷担した人事院に対して、怒りを持って抗議するものである。
 もはや人事院勧告制度は、労働基本権制約の「代償措置」としての機能を失っていることは明らかである。勧告制度を廃止したうえ、政府は憲法とILO勧告にもとづいて公務労働者の労働基本権をただちに回復せよ。

3、人事院勧告をめぐるたたかいの最中、安倍内閣は7月25日、「5年間10%以上」とする国家公務員の定員「合理化」計画を閣議決定した。公務員総人件 費削減方針にもそって、政府・人事院が一体となって強めてきた今回の賃下げ攻撃に対して、公務労組連絡会・各公務単産は、その本質を明らかにして、国民世 論に訴えてきた。
 職場・地域での学習や討議を出発点にして、人事院への署名行動に反復して取り組み、総計で34万筆を集約した。地方では、民間労組とも共同した宣伝・要 請、人事院地方事務局への要請・抗議行動に取り組んできた。中央では、全国から2千人の官民労働者が参加した「7・25中央行動」をたたかいの節目に、最 終盤では、猛暑のなか3日間の人事院前の座り込み行動を打ち抜いた。
 仲間たちの怒りのたたかいが、行(二)職員のさらなる賃下げや20%を超える地域間の賃金格差拡大など、当初人事院がねらっていた改悪メニューを押し返 した。また、不十分とはいえ、非常勤職員の休暇制度の改善を勝ち取ったことは、均等待遇を求めるたたかいの今後のステップとなっている。
 こうした要求と運動の到達点に確信を持ち、むかえる秋のたたかいでは、政府の「給与体系の抜本改革」を阻止するともに、「給与制度の総合的見直し」に追 随した地方人事委員会勧告や、政府による地方自治体・独立行政法人への賃下げ押しつけを許さないため、公務大産別の団結をさらに強めてたたかいを継続・強 化していく必要がある。

4、今年の地域最低賃金の目安額は、平均で16円引き上げる一方で、最高額と最低額の格差は205円から211円へとひろがった。物価上昇などをふまえれ ば実質マイナスとなり、地域間格差を拡大させた目安額を乗り越え、「時給1,000円以上」実現にむけ、引き続き各地での地域最低賃金引き上げのたたかい に全力をあげるものである。
 国民の声を聞かずに暴走する安倍政権は、戦争をする国づくりへの動きをさらに加速させようとしている。増税が消費を冷え込ませているにもかかわらず、 10%への消費税率引き上げを年内に判断するとしている。大企業奉仕・国民犠牲をいっそう強めているなかで、内閣支持率は急速に低下し、安倍内閣の退陣を 求める運動がひろがっている。
 公務労組連絡会は、みずからの要求と結びつけて、安倍暴走政治を許さないたたかいに全力をあげるとともに、憲法を擁護し、遵守する責務を負う公務労働者として、憲法を守りいかす運動の先頭に立って奮闘する決意である。
以  上